シロアリ駆除コラム
|
皆さんこんにちは!今年も一年色々なおうちのシロアリ駆除をさせていただきました。その中に伝統的な古民家や、柱や土台に朱塗り・赤褐色の塗装がされている家があります。神社等にもよく使われているベンガラという伝統的な塗料で、昔から「魔除け」「厄除け」の意味がりました。それと木材を天候から守り、防虫の為とも聞きます。私達は、シロアリや腐朽に関わる仕事ですので、その辺りも含めて調べてみました。
ベンガラの歴史は古く、インドのベンガラ地方から中国を経由して、縄文時代(約11500年前)に日本に入ってきたと言われています。縄文土器の内側にベンガラが使用されており、それが今に伝わっています。後にベンガラは「赤く燃え上がる炎」「空に輝く太陽」に例えて、特別な色として「魔除け」「厄除け」に使われてきました。ここで気になるのが、『ベンガラ塗料の防蟻・防腐性能はどうなのか?』ということ。(職業病ですみません…)
ある大学で、ベンガラを塗った木材と一般的なシロアリ薬剤を塗った木材と何も塗って無い木材の3種類を用意し、実験室の地面に置いたり、土に埋めたりして3年間観察したところ、何も塗って無い木材とベンガラを塗った木材のシロアリ被害と腐りは、シロアリ薬剤を塗った木材に比べ、約3倍程度進んでいたそうです。この結果からベンガラを塗っていても、防蟻・防腐を期待するのは難しいと言えますね…
しかし、昔から家や家族を災難や天候から守る「魔除け」「厄除け」の意味を持ったベンガラの古民家を定期的なメンテナンスをして大切にしてきたことで、伝統を継承することに繋がっているのだと思います。伝統的な古民家の現代建築には無い自然な雰囲気と開放的な空間は、いつ訪問してもいいなぁと感じます。